活用事例
2025-01-06

NECグループSSCが目指す、生成AIとManualForceによる効率化、その未来

NECグループのコーポレート機能を一手に担うNECビジネスインテリジェンスによるManualForceで作る未来とは

NECグループSSCが目指す、生成AIとManualForceによる効率化、その未来

NECビジネスインテリジェンス株式会社

NECビジネスインテリジェンス株式会社は、NECグループの経営強化を目的に、NECおよびNECグループ関係会社における人事、総務、経理・財務、資材調達、営業バックオフィスといった共通業務に対応するSSC(シェアードサービスセンター)の役割を担っています。また、データマネジメントとデジタル技術の活用による業務効率化やDX推進などの高度化も務めるスタッフ業務の専門企業です。

今回は同社のコーポレートトランスフォーメーション統括部ディレクターの若林様、同部門の三井様、朝子様、そして調達サービス統括部マネージャーの馬場様にお話を伺いました。

│生成AI活用の人材育成プログラムの推進

-ManualForceのような生成AIを活用したサービスの導入を検討された背景について教えていただけますでしょうか?

(若林様)生成AIの火付け役はChatGPT3だったと思います。当時のブームが到来し始めたときに、NECグループの中でも生成AI活用のターゲット領域が検討されました。いくつかのテーマがありましたが、その中の一つに私達の担当するオペレーション領域がありました。

そのため、経営トップ層での決定で、弊社で集中的な適応検証をすることまでは定まっていましたが、具体的にどの業務でどのような使い方をすることで効率性を向上させるかまでは決まっておらず、多くの議論がありました。

具体的な検討を進めていくにあたり、まず生成AI活用の人材育成プログラム「虎の穴」を立ち上げて、検討を開始しました。プログラムの中では様々な施策が検討されましたが、例えば、議事メモの要約やメールの返信文章の生成など、一般的な生成AIの活用から推進を開始しました。

そんな中で、Xで情報を収集していると、インフルエンサーの方がマニュアル作成領域でManualForceを紹介している投稿を発見したことが直接のきっかけです。また、実は丁度その時期に、調達部門からマニュアルの整備に関する課題が挙がっていたこともあり、業務への適合性があるかもしれないという仮説の元お声がけをさせていただきました。正直その時はまだ何か確信があったというわけではありませんでした。

-その後ツール選定とご導入を決定いただくまでにはどのようなプロセスがありましたか?

(若林様)まずは、ツールが業務課題を解決し得るのか、2023年上期に1か月ほど、調達部門も交えてManualForceの業務適応の検証を行いました。生成AIというと、当時は成功が確約された取り組みというわけではありませんでしたので、いくら便利そうであっても、実業務の部門担当者の評価が悪ければ、我々は現場には投入はしません。ただ、実際に検証をした結果、適応可能だという評価を得られたので、導入を推進することにしました。

その後、「虎の穴」で同時期に行っていた全10テーマ程の検証の成果発表を社長に行い、決裁を上期中に取得、中でも部門を問わずに必要な、「マニュアルの領域」に対応するManualForceは全社的に推進していくことが決まり、下期からは具体的な活動が始まっていきました。 

(なお、生成AI活用の人材育成プログラム「虎の穴」は第13回 日本HRチャレンジ大賞 人材育成部門の優秀賞と第9回HRテクノロジー大賞 奨励賞を受賞されています。)

コーポレートトランスフォーメーション統括部ディレクター若林様、朝子様

│2か年計画へのManualForceの導入

-ManualForce導入前に調達部門でお困りだったことと、導入のきっかけについてお聞かせください

(馬場様)まず、弊社の調達部門の業務について説明をさせていただきます。弊社の調達のプロセスの出発点はNECの事業部門から購入要求があって初めてスタートします。 購入要求はもちろんシステムで実施されるわけですが、システムは1つだけ操作すればよいものではなく、複数のシステムを利用する必要があります。

(若林様)一般の大企業あるあるだと思いますが、大企業でDXが進みにくい要因の一つには、社内ソフトウェアの複雑化が原因としてあると思います。弊社も解決しなくてはならない課題の一つだと考えています。

(馬場様)購入要求から発注までの対応方法は実は無数に方法があります。要求元によってシステム上の操作手順も異なり、場合によっては複数のシステムを取り扱う必要があり、たとえ同じシステム上の操作でも方法が多数あるので、覚えるのには大変骨が折れます。

このように複雑な手順に対応するため、調達システムに関する既存のマニュアルも一定数は存在していました。ただ、担当個々人がそれぞれの方法・フォーマットで作成してきているので、後から担当した方がそのマニュアルをみても理解ができないのも課題でした。マニュアルの内容としては、実務を遂行している担当者が画面コピーを取りながら一つ一つ手作業でエクセルに貼り付けて作成していたのがこれまでです。

また、マニュアルには大きく2種類があると考えています。背景を含み、読書するレベルで理解が必要なマニュアルと、単純にオペレーターがその作業が完遂できるようにする、手順書レベルのマニュアルです。弊社はSSC(シェアードサービスセンター)として、後者のマニュアルが最も重要ですが、それがわかりにくいと仕事にならないのです。

手順書レベルのマニュアルは、1つ1つの工程を全て漏れなく記録することが最も重要ですが、作成者にとっても1番つらい箇所がこの作業です。どんなに注意をしていても、工程が長ければ抜け漏れが出たり、フォーマットを決めていても人により完成マニュアルが異なるということもしばしば起こりえます。また、仮に最終確認をしたとしても、作業が再現できないということもあるわけです。

そこで、弊社では業務プロセスの洗い出し・整理と、それにともなう全ての手順の整備を2ヶ年計画として策定していたのですが、その1年目にManualForceに出会うことになりました。技術進化のタイミングとマッチし、運がよかったと思います。ManualForceであれば効率的に整備を推進できるのでは、という期待のもと実際に使ってみると現場の食いつきもよかったわけです。

調達サービス統括部マネージャー馬場様

 

-実際にManualForceを活用して業務はどのように変わりましたか?

(馬場様)導入後は先ほど申し上げた問題点が大きく改善されました。突出して良かったと感じたのは、マニュアル作成時間が大幅に短縮されたことです。実務をしながらManualForceを立ち上げて作業するだけで完成してしまいます。これまで、全ての工程で画面コピーと貼り付けを行っていた作業と比較すると、83%の工数を削減し効果を感じています。

また、マニュアル作成という業務自体は、どうしても売上を創出する業務と比較すると、優先度が下がる業務として判断されてしまいますが、ManualForceの場合は、実務をしながらそのまま作成できるという点が作成自体のハードルを大きく下げる要因になっていると思います。

使用感に関しては、操作上で無駄な情報を感じず、使い方で迷うことはほぼないと思います。一部ライセンス系の管理画面にわかりにくさを感じましたが、問い合わせに対しても、タイムリーにかつクイックにご対応いただいたので、解決まで速く好感が持てました。

コーポレートトランスフォーメーション統括部三井様

 

│AIを活用した業務プロセスの高度化

-今後の活用予定や展望についてお聞かせください。

(若林様)弊社では社内用の生成AIツールがあり、それを利用してさらに業務プロセスの可視化に取り組もうと思っています。その生成AIツールの学習データとしてManualForceで作成した各マニュアルを取り込むことを検討しています。これにより、業務プロセス上の改善点や示唆の提示にチャレンジしていく予定です。このような構想は以前よりありましたが、その元データとなるマニュアルが今回で作成されていくと考えています。

また、何らかの手順を実施するにしても、ベストプラクティスな手順があると考えており、単純な手順でも人によっては差があると考えています。その差分についても、AIで適切かつ最短の手順を行っている人を抽出し、ノウハウとして展開することも検討しています。

このようにManualForceを単純にマニュアル作成用途だけで利用するにはもったいないので、AIを交えて応用した活用を考えています。 プロセスのデータ化は弊社にとっても非常に重要なミッションで今後も全社的に動いていく予定です。

 

│2025年問題への解決策として期待

-最後にManualForceを検討中の方にコメントをお願いいたします

(若林様)ManualForceは今後の労働力不足の時代背景にも相まって、ニーズがより一層大きくなると思います。長年暗黙知として企業に蓄積されてきたノウハウを今後どのようにして形式知化して会社全体の集合知にしていくかがどの企業にとっても大きな課題となってくるはずです。

またAIの技術進化に伴い、社内の暗黙知をデータ化し、AIに学習させることは企業の競争力に直結する時代になってくると感じておりManualForceは企業の競争力を上げるための良き相棒になると思っています。

-貴重なインタビューをありがとうございました!

なお、同社は以降、ManualForceの全社展開を進め、全14統括部にてManualForceをご活用いただいております。