ナイル株式会社
ナイル株式会社は月間1,000万人が利用するアプリ専門メディア「Appliv」を運営。同社は「Appliv」に加え、エンタメ情報を幅広く扱う「Appliv TOPICS」やその他にも複数のメディアを展開している。2023年4月26日からはAIサービス専門メディアの「AI比較ナビ」をリリースし、近年過熱するAI領域への進出も行っている。
今回は「Appliv TOPICS」でライターや編集アシスタントのマネジメントを担当し、前述の「AI比較ナビ」で編集長も務める松下陽祐さんにお話を伺いました。
│マニュアルの運用改善に一苦労
-ManualFoce導入以前に困っていたことを教えてください。
(松下さん)社内には膨大な量のマニュアルが存在していますが、その中には内容が古くて利用していないものや、すでに使っていないツールのマニュアルなど、さまざまなものが混在している状態でした。また、どこに何のマニュアルがあるのかがわかりにくく、必要なマニュアルに辿りつくことも難しい状態で、さらに、マニュアルの作成者別に品質に差があり、担当者への問い合わせ対応も必要な状況で頭を悩ませていました。
社内マニュアルの運用改善はこれまで何度かチャレンジしてきましたが、あまり上手くいかず困っていたところです。
-これまではどのような形でマニュアルを運用してきましたか?
(松下さん)マニュアルはGoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートで作成し、Googleドライブ内でフォルダ別に格納していました。そして、それらをGoogleサイトにリンクとして掲載し社内用のポータルのようにまとめていました。ただ、Googleサイト内から必要なマニュアルが探しにくく、どこに何のマニュアルがあるかよくわからない状態でした。
過去にはGoogleドライブだけで共有することもありましたが、格納し忘れや共有設定のモレ、アクセス権がないという課題も頻繁に発生していました。
│問い合わせ工数の削減にも効果を実感
-具体的にはどのようなマニュアルを作成していましたか?
(松下さん)記事作成のルールから、自社で内製している記事編集システム、外部SEOツールの操作手順をマニュアルとして作成していました。特に記事編集システムの操作手順に関しては、アルバイトのライターが利用することもあるので、撮影したスクリーンショットの加工も丁寧に行う必要があり、新機能の追加の頻度の高さも相まって、多くの工数を要していました。
なお、アルバイトのライターがチームに参画する際は、その度に記事作成に関する研修を行っていますが、「このマニュアルはどこにありますでしょうか?」といったコミュニケーションが多く、社員ですらどこに格納されているのかわかっていないこともあり、マニュアル探しに手間がかかっています。また、マニュアルの正確性が原因で操作手順が正しいかどうかを聞かれることも頻繁にあるので、結局社員が手順を確認しなければならず、ここでも工数が発生していました。
-ManualForceを導入して業務はどのように変わりましたか?
(松下さん)社内でマニュアルを受け取った人の反応がとてもいいです。実はアルバイターのライターの方々からは反応はほとんどないんです。とはいえ、これは逆に不備がないということだと感じています。といいますのも、これまでは「この部分はどのように操作すればいいですか」といった質問が多かったですが、ManualForceで手順を共有してからは質問がないので、質問への対応工数が明らかに削減できている実感があります。
マニュアルは基本的に人が作成するものですし、あえて手順を一部端折ることもあると思います。それは作成している人のさじ加減や性格で変わってしまうものですが、それによってわかりにくくなったり、端折ったことが原因で、マニュアルを見ている人と違う画面になり、現在地がわからなくなることがあります。一方で、ManualForceは誰が記録をしても全く同じマニュアルが出来上がります。これであれば、人によるさじ加減でわかりにくくなることもないですし、意図した手順が確実に共有できるのはManualForceの大きな強みだと感じています。
また、フォルダの格納場所がわかりにくい件については、ManualForceのチーム毎にフォルダ管理を行う形を採用し、チーム内で必要なフォルダリング構成を検討して格納しました。そのため、Googleサイトから一斉に探すよりも大分楽になりました。
あとは、社内の記事編集システムはもちろんのこと、SEO関連ツールの操作手順もまとめています。利用しているSEO関連ツールは海外製が半数程ありますが、やはり英語ということもあり、正直とっつきにくいものもあります。ただ、ManualForceで一回手順を記録さえしてしまえば、それ以降に操作するメンバーは英語であってもスクリーンショットを見るだけなので、実際に利用するまでの心理的ハードルは下がっていると思います。
│システム開発やリサーチの共有でもフル活用
-他にはどのように活用をしていますか?
(松下さん)社内の記事編集システムには新機能が頻繁に追加されるのですが、バグの発生手順を記録するときにも利用しています。これまでは、エンジニアとMTGの時間を調整しビデオ会議で画面共有しながら説明をしていましたが、ManualForceでバグ発生の手順を記録して共有しています。これもエンジニアと編集チームの時間を大きく削減できていると思います。
また、「AI比較ナビ」の業務の一環で海外製のAIサービスをリサーチする機会が非常に多いのですが、リサーチ情報の共有にも一役買っています。ナイルでは積極的な生成AI活用が進められているので、社内にはAI関連情報のSlackチャンネルがあり、そのチャンネルでアカウントの作成方法や簡単な操作手順を共有しています。今まで文章で長々と説明していたことと比べると非常に情報共有も早く、スクショ付きなので手順も伝わりやすくなりました。昨今のAIサービスはものすごいスピードで情報が流れていくので、実際に社員が1つ1つ試していくのは現実的ではありませんが、ManualForceで利用シーンを記録して動作のイメージを伝えられるという点も評価のポイントです。
-どれくらい業務は効率化しましたか?
(松下さん)わかりやすい所で言うと、記事編集システムに新機能が追加された際のマニュアルを作成するには、およそ1~2時間程かかると思いますが、これが10~15分で完成するようになった感覚があります。先程の海外AIサービス関連の情報共有で言えば10分の1にはなっていると思います。
│アイディア次第でManualForceは売上創出装置に
-今後ManualForceを利用してチャレンジしたいことはありますか?
(松下さん)まずはGoogleサイトでの既存のマニュアル管理をできるだけ入れ替えていきたいと考えています。実はこれに加えて、記事作成自体での活用も考えています。メディアとしてWebサービスの使い方を記事として作成することがよくあります。従来こういった記事を作成する際は、対象のサービスのスクショを撮り、画像に装飾を加え、記事として手順を執筆します。この作業をManualForceで置き換えることに可能性を感じています。サービスの使い方の記事は「スタート」と「ゴール」が決まっているので、ManualForceが得意とする記録方法に相性が良いと感じています。また、ManualForceにはHTMLでの出力機能があるので、出力した内容を記事編集システムのCMSに入稿することも合わせて検討しています。
この取り組みによって、削減したライターの工数を記事の執筆時間にあてることができるので、記事の品質向上を期待しています。
社内の既存のマニュアルを置き換えても、売上の向上に直接寄与しませんが、ManualForceが記事作成に転用できるとなるとコスト削減と共に記事による売上につながっていくことが期待できます。
手順をまとめる記事でいうと、記事の書き方にも幅を持たせることができると考えています。例えば、PrimeVideoの登録手順をリライトするときに、今時点と過去執筆時点で手順が同じかどうかを確認することがあります。ManualForceがあれば確認のタイミングで当時の手順をアーカイブとして差分を確認することもできるので、当時の手順と比較したときに、「どのように変更があり、どのように楽になったか」という書き方ができます。これは、過去の手順が正確に把握できていなければ書けないので書き方にも幅が生まれると考えています。
-ManualForceに期待したいことはありますか?
(松下さん)強いて挙げるとすれば、一連の流れを動画でまとめられると便利になるかもしれません。レコーディングスタートからストップまで、スクリーンショットでも動画でも保存されるとよいと思いました。弊社の記事はアフィリエイトで売上を創出していますが、閲覧するユーザーが途中で読むのを面倒になってやめてしまう方もいらっしゃいます。それを防ぐ意味合いで冒頭で動画を掲載することができれば、この先どこまでその手順があるのかが明確になるので、ユーザーの不安を払拭し離脱を防止できる施策になると考えています。
-ManualFoceをご検討中の方にメッセージをお願いします。
(松下さん)ManualForceは使い方次第で、色々な場面で、アイディア次第で様々なことが実現できるサービスだと思います。活かすも殺すも、考え方とチャレンジ次第で可能性があるサービスです。様々な場面で積極的にアイディアを出してManualForceを活用していくといいと思います。
ー引き続きManualForceがご支援できるよう改善を進めて参ります。貴重なお話をありがとうございました!
※掲載内容は取材当時のものです。